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NOTES 1

  コラボレーションというと「それぞれの持ち味をミックスする」というように考える人が多いだろうけれど、そんなコラボレーションは頭の中で考える以上にうまくいくことはあまりない。コラボレーションは今お互いが持っている頭の中身や体の回路を使わないことから始まった方がいい。お互い既に持っているもの、それぞれの違いや得意を直接交換したりシェアしたりするのではなく、できるだけ間接的に迂回しながら交換していった方がいつまでもアイコでいれる。直接交換をしすぎるとせっかくの2が1になってしまうから。いつまでも2で居続ける、いつまでも2が基本にある、そのことで2は1にも0にもそしてまた2以上にもなれる。その方が2が1になるよりも、2で1を作るよりもリッチだと思える。私達が既に持っているものではなく、お互いに持っていないものを一番リッチなプールとして覗き込み、これまで自分1人の回路では選択しなかった道を紡いでいく。そんなことが続いて繰り返していけばいい。そう20年くらい?って以前扶美代さんが言っていたことがあった。パッサカリアの繰り返しも20回だしね。20。 扶美代さんとは稽古場で体を動かしながらアイデアを出すスピードと、今日稽古場で起こったことを言語化するスピードがほぼ同じ。体も脳も同じ速度で動く。私が思い出せないことを彼女が、彼女が思い出さないことを私が思い出す。2人でなければ選択できない方法で、2人でなければ登場しない言葉を使って、それは1人だけの強烈な持ち味とは全く違った豊かさで、日々誕生していく。 スピードが同じということは、思い出したり考えたりする速度だけではなく、忘れていく速度も同じということ。何かを失って諦める速度や立ち直る速度もそして引きずる速度も同じということ。 扶美代さんも私も思いつくことはとても直感的で適当だけどそれはつまり「適当な思いつき」ではなくて完璧な計算。環境を使っていかに必然的な偶然を作るか。 この共同製作「amness」クリエイション4日間が経過。ここではRosasのスタジオを提供してもらっている。クリエイションだけに集中できる環境。日本ではありえない。環境が発想を支えてくれる。時間の流れ方の壮大さ。体の中に流れる時間が変わるとたった1秒舞台に立つだけの振りでも全然違う体でいることができるだろう。 今日は土曜日だからオフ。ベルギーでは週休二日って決まってる。どんな職業の人でも働き過ぎはだめ。今日はオフに相応しく土砂降りの雨と雷。このアパートは街のど真ん中。ど真ん中すぎで賑やかなレストランやショップが立ち並んでいる通りだから窓をあけるととてもうるさいけど今日は土砂降りだから石畳に打ち付ける雨の音しかしない。雨の音と雷の音しかしない。 山田うん

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