トラックが16まである。必ず使いたい曲は、いくつか確かにある。でもamness的には何でもありなのかもしれない。毎回変わっても良いのかもしれない。そういう事が許されるのか、そういう事をやっていいのか、でもそういうワクワク感、ドキドキ感、私達をその反面、不利にも有利にも出来る環境がストラクチャーの中に自然に入り込ませる事が出来ると良い。
うんちゃんの絶対感と儚さ、強さと弱さは圧巻で、毎日沢山練習しようが、しまいが関係ないようである…誰かに似てると思ったら、アンヌ・テレサだった。不器用さが良い勝負だ。
時間は流れていなく、時だけがある。そういう空間の中で踊る。時間は刻まれているけど、時が存在しない、そんな空気が漂っている。
創るのではなく、編み続けている、フィックスしているのでなく、逃げ道をこしらえている。編んだ先からほころびて行くような、塞き止めた先から漏れて行く様な、そんな作業を選んでしまったようだ。
安定させないでどんどん動いている土台が、バッハと共に動き、水の様に流れ、風の様に彷徨う…
思い出すから記憶に繋がるが、繋がらない記憶は、思い出せない記憶は、身体の何処に、空間の何処に、隠れてしまうのだろうか。時間はどんどん進むので少しも待ってくれなくて、無意識以外の不思議な感覚と存在しない時が目に見えないものとしてざわめく。
同じ繰り返しでも1回目から5回目までの繰り返しと、5回目から10回目までの繰り返しと1回目から10回目までの繰り返しと20回目から30回目までの繰り返しと90回目から100回目までの繰り返しでは「繰り返し」という意味に宿る意味の役割が全然違う。
同じ振付を繰り返すのではなくルールを繰り返してみる。同じルールを繰り返すのではなくて同じ質を繰り返してみる。様々な繰り返しを試みることで初めて「繰り返し」という言葉の意味に出会う。繰り返しは再現ではない。繰り返しという再現のような魔法を繰り返す。
繰り返せば繰り返すほど新鮮さを失うのではなく、繰り返しても繰り返しても新鮮でありたい。そう思いながらも、繰り返し繰り返しの過程の中で新鮮さが欠けていることにある日気付く。新鮮さを取り戻したいと思う。そう思っているうちは新鮮さを取り戻せない。何をしているのか忘れる力が現れて、繰り返しが当たり前になって、もう繰り返してることを忘れて、または捨てて、繰り返しなんかやめる。繰り返しが消えた時に「繰り返し」という言葉の意味が元の役割に戻る。そして新しい繰り返し、新鮮な繰り返しを作り始めることができる。そこに辿り着くには一体何回繰り返せばいいのだろう。何回繰り返す時までがピュアなんだろう。ピュアというのは何だったんだろう。
膨大な言葉交換、膨大な振付交換、膨大な順番の可能性、単純でありながら膨大な量をせっせと生み出しては取り扱う毎日。作ることは編んだり解いたりすることで少しずつ進んでいる。でもそうしながらも、今のところまるで進んでいない、私も扶美代さんも全然歩いてない道が私達が一番作りたい道かもしれないとも思う。
扶美代さんとの「amness」4週目。エッセンのPactで劇場を使ってクリエイション中。ハンスの照明は地明かりだけの仕込みだけど本当に本当に美しいバリエイション。美しい光と影、時間を含んだ風景を見せてくれる。明後日は途中経過発表のショーイング。
10月18日〜20日にKAAT 神奈川芸術劇場で行う『amness』公演のフライヤーが完成しました!
宣伝美術:船橋陽 Design: Yow Funahashi
このとても素敵なフライヤーは美術家・音楽家の船橋陽さんにデザインと写真をお願いしました。
今週末より都内近郊の劇場・公演を中心に配布しますので、見かけたら是非手に取ってみてください。
横浜公演詳細はこちらから。
直感は思いつきではなくて考え抜かれたことだといつも思う。構成も動きもクリエイションの日々一瞬一瞬でさえも時間を逆再生して考え抜かれた直感でありたいといつも思う。
ルーヴァンでのクリエイションは今日が最終日。扶美代さんと電車に揺られて行きも帰りもあくびして「行きのあくびと帰りのあくびは何か違うね」と他愛もないことを話しながら作品のことも話す。ランチの時間は食いしん坊だから時間厳守。帰り道にはアイスをペロペロしながら西陽を浴びる。
今、私の毎日の日々は、うんちゃんと踊る、10月初演のamnessのリハーサルに、すべての時間が流れています。
amnessは、結果ではなくその状態。
amnessは、間違いもなく、批評もなく、先に進むしかない。
amnessは、奇跡、偶然、直感と我が儘。
amnessは、他力本願。
amnessは、いつも同じで違う事を繰り返す事。
amnessは、秘密だらけ。
amnessは、見えないもの、聴こえないもの、触る事が出来ないものを編む事。
amnessは、儚く、歪んで、私にも良く分からない、気になる、におい。
そして、誰かのために踊れるからこそ、ダンスだと思う。
アムネス的な日々。